冷静に話し合いの場を設ける
夫婦といっても、もとは他人です。多少のトラブルはどこにでもあります。ですが、離婚を考えるまでこじれてしまった関係の場合、もはやお互い気持ちだけでは解決の糸口が見つからないことも多いのが現実です。
夫婦間に深刻なトラブルが起きると、毎日顔を合わせるだけに、かえって冷静に話し合うことが難しいものです。まずは向き合って話し合う努力をすることが大切です。どちらかが家を出てしまうと事が起きくなってしまい、維持の張り合いになってしまい、よけいに修復が困難になる可能性が高まってしまいます。
離婚を回避したい気持ちが少しでもある場合、冷静に話し合う場を見つけることが大切です。冷静に話し合うには、第三者の立ち合いが有効です。ここで大切なのは、夫婦ともに信頼できる、共通の友人(どちらか一方に肩入れをしない俯瞰の目で対応できる人物)などが良いでしょう。そのような友人が見当たらない場合、お互いの友人を一人ずつ読んで、4人で静かに話し合うことが大切です。このときに食事などの場を設けるのではなく、お茶などにしてください。食事となるとお酒を飲んでしまう場合があり、冷静になれない場合があります。
また、適当な人がいない場合や、身近な他人に知られるのが嫌な場合、カウンセリングを受けるのも一つの手です。法律や心理学の専門家などによるカウンセリングもあります。このようなところに相談してみてください。
家庭裁判所に、夫婦関係を改善し離婚を回避することを目的とした夫婦関係円満調整の調停を申し立てる方法もあります。
※日本調停協会連合会では、全国各地で無料調停相談を実施しています。
夫婦関係円満調整の調停
家庭裁判所は、離婚の調停をおこなうところというイメージがあります。ですが、夫婦関係が円満でなくなってしまった場合には、元の円満な夫婦関係を回復するための話し合いをする場としても、家庭裁判所の調停手続きを利用することができます。
調停には、家事裁判官(裁判官)1人と、民間の良識のある人から選ばれた調停委員2人で構成される調停委員会が立ち会います。調停委員が双方の事情をそれぞれ聞いて、夫婦関係が円満でなくなった原因はどこにあるのか、その原因をどのように努力して正すようにすれば夫婦関係が改善するかなどの解決案を指示したり、解決のために必要な助言をしたりという形で進められます。お互いが顔を合わさずに済むように、待合室も別になっています。
いきなり「家庭裁判所の調停」と聞くと、相手も身構えてしまいます。夫婦の問題を解決して夫婦関係を円満にしたいという気持ちを、あらかじめ相手にしっかりと伝えておくことが大切です。
夫婦円満調整の調停の申し立て
夫婦関係円満調整の調停の申し立ては、以下のように行います。
申立先
- 相手方の住所地の家庭裁判所または当事者が合意で定める家庭裁判所
申し立てに必要な費用
- 収入印紙1,200円
- 連絡用の郵便切手(家庭裁判所に確認してください)
申し立てに必要な書類
- 申立書2部
- 照会書1部
- 申立書付票1部
- 夫婦の戸籍謄本1部
- 場合によってはその他必要な資料
申し立て後に、家庭裁判所から調停期日の指定と呼び出し状が届き、1~1ヵ月後に最初の調停が行われます。
申立書の記入例
調停が進んだら
調停では、お互いの気持ちを個別に聞いてもらいながら、夫婦関係を修復するためのアドバイスを受けたり、相手を望むことをそれぞれに提示したりします。調停の結果を待つまでもなく夫婦が円満な関係に戻れたら、調停はいつでも取り下げることができます。
調停で合意がなされた内容は調停調書という書面に記されますが、調停調書に強制力はありません。調停後、いったん関係が修復しても、そのあと調停調書の内容が守られないこともあります。そのために改めて離婚調停の申し込みをすることになったときは、「相手が調停調書で記された約束を守らなかった」という事実が考慮の対象になります。途中で調停がうまくいかないことが明確になり、あなたにも離婚の意思がはっきり固まった場合には、円満調停を離婚調停に切り替えることもできます。
また、あなたがまだ離婚するかどうか結論を出していないのに、相手が勝手に離婚届けを提出してしまうことがあります。心配な場合には、役所に離婚届不受理申出書を出しておきましょう。離婚前に、財産分与を避ける目的で勝手に処分されそうな財産がある場合は、財産保全措置のための手続きをとることも考慮してみてください。