子どもを抱えての就業を支援する制度

結婚しているときは一方が働いて生活をさせることができますが、離婚してしまうと、それぞれが自分の生活を自分でさせていかなければいけません。

幼い子どもを抱えて離婚する場合には、仕事と子育てとの両立という困難がさらに加わります。そこで、ひとり親家庭を対象とした働くためのさまざまな支援が自治体などで行われています。

とくに、離婚後に就職しようとする場合、幼い子どもがいることは大きなハンデとなるのが実情です。まずは自治体などの支援を利用して働き先を確保する、就職のための経済的負担を軽減するなどが可能かどうか検討する必要があります。

仕事を探す場合、一番身近なのが公共職業安定所(ハローワーク)ですが、ハローワークとは別に、子育てをしながら職探しをする親のための就職支援サービスを行っているマザーズハローワーク(男性利用も可)も全国に多くあります。

都道府県などの自治体が主体で国の事業を実施する母子家庭等就業・自立支援センター事業は、ひとり親家庭の経済的自立の支援を目的としています。

実施している事業は自治体によって異なりますが、無料の職業紹介・アドバイスや求人情報の提供のほか、就業に役立つ資格取得を目的としてパソコンやホームヘルパーの講習会を開くなど、ひとり親家庭の就業支援を一貫して行います。

母子家庭等就業・自立支援センター事業

母子家庭等就業・自立支援センター事業

子育てと仕事を両立するために

離婚した人が幼い子連れの場合、経済的な問題だけでなく、働いている時間に子どもの世話をどうするかが大きな問題です。母子家庭・父子家庭どちらの場合でも、経済的な問題は少なかったとしても、子供の世話は悩みの種かもしれません。

日中に保育ができない場合、一般的には、保育園に預けて働くことになります。保険料は自治体、世帯収入、子の年齢(3歳未満,3歳,4歳以上)によって大きく異なります。受け入れ人数には制限があるため、早めの申し込み等が必要です。

離婚して働きながら1人で子どもを育てている親にとっては、子供が病気になったときや就業の時など、どうしても予定外の託児が必要となる場合があります。そのようなときに利用できるのが、自治体の子育て支援サービスです。サービス内容は自治体によって異なりますので、住んでいる市町村での実施サービスを確認してください。

例えば、保育園の送迎や保育時間外に子どもを預かってほしい場合には、各自治体にファミリー・サポート・センターがあります。対象年齢があるので各自治体に確認してください。

家庭での託児制度、保育ママを実施している自治体もあります。いずれも民間の託児よりかなり格安の料金設定となっているので、ぜひ利用しない手はありません。

また、保育園では日中の保育が原則ですが、残業などで夜間の託児が必要となる場合があります。そのようなときに自治体によっては、夕方5時ぐらいから午後10時くらいまで預かってくれるトワイライトステイを実施しているところがあります。出張や夜勤などで家を空けなければならない場合には、宿泊で保育するショートステイを実施する自治体もあります。

その他、自宅にホームヘルパーの派遣を受けて育児や家事を手伝ってもらうホームヘルプサービスなどもあります。いずれも各自治体により名称や実施の有無、条件などが異なりますので確認しておいて損はありません。

子育て支援サービス

自治体子育て支援サービス例

公共職業訓練を利用して就職のためのスキルアップ

少しでも有利な仕事を探すには、就職に有利なスキルを身につけたり資格を取得したりする努力も必要です。

スキルアップや資格取得にはさまざまな方法がありますが、公共職業訓練を利用すると、費用面での特典などがあります。

公共職業訓練の窓口は主にハローワークです。ハローワークでは、仕事の紹介だけではなく公共職業訓練校の受験や申し込みも受け付けています。また、民間の専門学校などに委託した公共職業訓練もあります。受講期間は1ヵ月程度から2年以上かかるものまでさまざまあります。

この制度は、受験料や受講料が無料ですから、教材費や交通費の実費だけで受講することができます。市町村によっては、教材費や交通費も支払われます。結婚前に会社に勤めていて雇用保険の受給資格のある人は、交通費の支給や失業給付の延長などの配偶措置を受けることができます。

また、雇用保険の受給資格がない人のためには、雇用保険の教育訓練給付金と同じ内容の自立支援教育訓練給付金があります。

また、保育士などの資格取得で2年以上勉強する場合には、高等技能訓練促進費という生活費の補助もあります。こうした優遇制度を利用することによって、収入の少ないひとり親家庭でも、経済的負担を少なくしてスキルを磨くことができます。

公共職業訓練

公共職業訓練

離婚前の問題に戻る