離婚・再婚をポジティブにとらえる人が増加

離婚にいたるプロセスは、精神的にかなりのストレスを感じさせるライフイベントです。離婚した当初は「もう二度と結婚などしない」と考える人が圧倒的ですし、子どもを抱えて離婚した場合、「とても再婚を考える余裕はない」という人も多いでしょう。

しかし、2010年度「人口動態調査」を見ると、離婚した男性のうち17.7%が1年未満、42.8%が1~5年で再婚していることが分かります。

女性は15%が1年未満、43.4%が1~5年で再婚しています。つまり男女とも約6割の人が、新たな結婚生活を離婚してから5年の間にスタートさせていることになります。

「年代別再婚件数の推移」を見ると、24歳以下では女性の方が男性の約2倍の再婚件数があり、44歳まではあまり差がありませんが、45歳以上になると今後は男性の件数が女性の約1.7倍になっています。

こうした傾向は、結婚や離婚についての価値観の変化が大きな影響を与えており、最近耳にする「離カツ」という言葉にあらわされるように、離婚や再婚をポジティブにとらえる人が多くなってきている実態を浮き彫りにした統計データです。

※ライフイベント・・・人々が一生の間で体験する大きな出来事。結婚・出産などに加え、最近は離婚・再婚も体験する割合の高いライフイベントになってきました。

妻の再婚率

妻の再婚率

夫の再婚率

夫の再婚率

女性は再婚の際に一定の制限がある

結婚も離婚も基本的に夫婦間の問題です。法律上の離婚とは、2人で新たに作った籍から一方(筆頭者でないほう)が自分の籍を抜くことであり、再婚とは、別のパートナーと新たに籍を作ることです。

しかし、実際に夫婦が離婚したり再婚したりする場合には、財産分与を含むさまざまな問題が生まれてきます。中でも子どもの問題は非常にデリケートであり、離婚や再婚によって子どもに対する親権の問題や戸籍・姓の問題、さらには再婚する時期まで左右する問題が発生します。

人間は、妊娠後一定期間を母親の胎内で過ごします。したがって、離婚した後に再婚して子どもが生まれた場合、今の夫の子どもか、別れた前夫との子か、2通りの推定がなされることになります。民法では、婚姻成立の日から200日後または婚姻解消(離婚)の日から300日以内に生まれた子は、前の婚姻中に妊娠していた子として前夫の子と推定するとしていますが、離婚してすぐに再婚して子どもが生まれた場合、本当の父が今の夫なのか前夫なのか確定できないケースもあり得ます。

そこで、法律ではこうした二重推定を防ぐために、女性にのみ6か月間の待婚期間を設けることを義務づけ、そのことで子どもの父を明確にする整えようとしています。

ただし、離婚を考えている状況で、子どもが生まれる、婚姻成立の日から200日後または婚姻解消(離婚)の日から300日以内に前夫と性行為(SEX)をしているかどうかは、考えなければいけない問題です。愛が冷めてしまっている前夫と性行為(SEX)をするかどうかは考えものです。この争点をめぐってさまざまな問題が起きているのも事実です。

※筆頭者・・・戸籍の最初に記載されている人。夫婦で新しく戸籍を作る場合は、夫が妻のどちらかを筆頭者として記載する。

前の夫の戸籍に子どもの籍をいれたくないとき

離婚手続きの日から300日以内で、かつ再婚の婚姻届提出の日から200日が立たない間に子どもが生まれた場合、その子供は前夫の戸籍に記載されます(前の結婚時に前夫が筆頭者だった場合)。

しかし、再婚した夫が実の父であることが明らかな場合など、前夫の子として戸籍に記載したくないケースもあります。

その場合は、出生届を出さず、代わりに家庭裁判所に親子関係不存在確認を提出します。裁判所が審査し、申し立てを認めた審判書を添付した出生届を市区町村に提出すれば、出生当時の母の戸籍に入ることが可能です。

ただし、出生届を出さないと健康保険に入れないなどの不都合もありますので、手続きは迅速に行う必要があります。

再婚後の養育費と戸籍はどうなる?

再婚は、結婚と同様、当事者である男女間の問題です。基本的に子どものいる人がさいこんしたとしても、親子関係はあくまでも元夫と元馬にあり、新しく夫や妻になった人との間に親子関係は発生しません。

つまり、自分もしくは相手が再婚したとしても、子どもの養育義務は元の夫・妻にあり、養育費が減額されるわけではないことをきちんと認識する必要があります。ただし、再婚によって子どもの生活レベルが現在よりも高くなった場合は、負担している養育費が減額されることも考えられます。

子どもの戸籍と姓は、とくに届け出をしない限り、親が再婚したからといって変化はありません。たとえば、母(父)が子どもを連れて再婚した場合、母(父)は結婚によって新しい夫(妻)との戸籍をつくることになりますが、子どもの戸籍は元のままにとどまります。

もし、自分の子どもに新しい戸籍の筆頭者の姓を名乗らせたり、実子と同等の権利を持たせようとするなら、新しい戸籍の筆頭者と子どもとの間に、養子縁組の手続きをする必要があります。

ちなみに、再婚相手と養子縁組をした場合、新しい再婚相手にも子どもの扶養義務が発生します。

再婚と親権と養育費

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